フラグとは、マイクロアレイの測定システムが、測定値とあわせて出力するもので、その測定値の信頼性に関する指標となります。ただ、それぞれの測定システムや、フラグの種類によって意味や特徴がまったく異なりますので、その特徴を理解してフィルターを使うととても強力な解析ツールになります。
Affymetrix GeneChip:
Affymetrix GeneChip で、MAS5で解析されたデータの場合は、Detection フラグとして、Present (P)、Absent (A)、Marginal (M) というフラグ値が付加されていることがあります。Pは測定値が信頼できて、Aだと信頼できないということになります。
Affymetrixの3' IVT GeneChip のフラグ(Detection)の使い方
アフィメトリクスの3' IVTタイプのGeneChipシステムでは、Detectionの値をシグナルに付加することができます。これはフラグ値の一種で、シグナル値の信頼性を表すものです。Present (P)は良い、Marginal (M)はまあまあ、Absent (A)は悪いと考えていいです。このムービーでは、Detectionの特徴と、その使い方を学んでください。
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Agilent Microarrays:
IsSaturated & IsFeatNonUnifOL
これらのフラグ値が 1 となっていたら、その測定値は信頼できません。このようなフラグ値が30個程度含まれることはアレイの品質としては問題ありません。しかし、これが100個とか1000個とかある場合は、そのアレイデータ全体の品質が問題かもしれません。
IsPosAndSignif & IsWellAboveBG
このフラグ値が 0 であれば、その測定値はネガティブコントロールプローブと変わらない、つまり発現していないということを表します。
これらフラグの違いは、厳密さです。IsWellAboveBGのほうが 0 と判定される測定値が多くて、そのためこれが 1 ということはシグナル値の信頼性が非常に高いということになります。IsWellAboveBG フラグのほうが「保守的」といわれるのはこのためです。しかし、あなたが低発現領域の遺伝子発現に特に注目しているのでしたら、このフラグでは低発現の遺伝子を除去しすぎるかもしれません。IsPosAndSignifのほうが、厳密にネガティブコントロールと変わらない発現量の遺伝子のみを除くことに使えます。
Agilentマイクロアレイのフラグと、その使い方
アジレントのマイクロアレイシステムは、とても有用なフラグ情報を出力してくれます。GeneSpringのようにアフィメトリクスのフラグをまねた値に変換してしまうのはもったいなくて、そのまま使ったほうがはるかに使い出があると思います。その理由をご覧ください。
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