DNAの脱メチル化と、エピジェネティック修飾 H3K4me3 の強い関連

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CpG アイランドでは多くの場合脱メチル化されていることが知られています。しかし、実際の測定データを見ると多くの例外を簡単に見つけることができます。GSE97484 (DNAメチル化アレイと、H3K4me3 および H3K27ac のChIP-Seq 測定データを含むマルチオミクスのデータセット)を例にとって、DNAの脱メチル化について詳しく見てみましょう。

ゲノムブラウザー上でベータ値を棒グラフで見てみると、多くの場合はFig1-Aのようになっています。つまり、脱メチル化領域は谷底のように見えて、領域の縁から急にメチル化が高くなります。そして、CpGアイランドと脱メチル化領域がきれいに重なっています。しかし、例外も多く見られます。例えば、Fig1-BのようにCpGアイランドの領域全体が高メチル化されていたり、Fig1-CのようにCpGアイランドと脱メチル化領域がずれていたりすることがあります。また、Fig1-Bで見られるように、CpGアイランドの外にも脱メチル化された領域が見つかることもあります。したがって、CpGアイランドであることが、DNAの脱メチル化に必須というわけではなさそうです。

Histon Modification And Dna Unmethylation   Fig1

Fig2を見ると、CpGアイランドのベータ値が0付近、つまり脱メチル化に偏っていることが分かります。およそ半分が0.1よりも低いところに集まっており、CpGアイランド外におけるbeta値の分布形と対照的でもあります。しかし同時に、逆側にも小さなピークがあることから、わりと多くの例外が見つかる理由もわかります。

Histon Modification And Dna Unmethylation   Fig2

それでは、Fig3を見てみましょう。これは、H3K4me3 ChIP-Seqのピーク内、および外のベータ値の分布形を示したものです。H3K4me3(ヒストンH3タンパクの4番目のリジン残基のトリメチル化)は有名なエピジェネティック修飾です。H3K4me3の領域では、CpGアイランドよりもずっと厳格に脱メチル化されていることが分かります。

Histon Modification And Dna Unmethylation   Fig3

Fig4は、CpGアイランドとH3K4me3 ChIP-Seqピーク領域の重複領域、および重複していない領域に分けて、ベータ値の分布形を見たものです。たとえCpGアイランドであっても、H3K4me3ピークになければ高メチル化状態になっていることから、H3K4me3はCpGアイランドの脱メチル化に必要と思われます。そして、CpGアイランド外でも、H3K4me3はDNAの脱メチル化に強い影響を与えているようです。

Histon Modification And Dna Unmethylation   Fig4

Fig5は、Fig1-CにH3K4me3のピークを追加したものです。脱メチル化領域は、CpGアイランドよりもH3K4me3のピークとより強い関係があるように見えます。Fig1-Bのようなケースでは、より明確にH3K4me3ピークと脱メチル化領域が対応していることが見られました。

Histon Modification And Dna Unmethylation   Fig5

Information:

GSE97484 のChIP-Seqの測定結果は、bigwigフォーマットのファイルとして提供されています。Subio Platformにbigwigファイルをインポートする方法はこちらをご覧ください。